『不倫の味』(前編)

はちみつ

 

おれの名前はユウト。30歳の会社員だ。

同い歳の妻と結婚して5年経つが、数年前からセックスレスになった。

原因は向こうの体調不良とのことだが実際のところはよくわからない。

拒否されて以降、一緒にいるのが辛くなった。

また誘ってみると意外と元通りになるのかも知れないが、何か嫌だ。プライドってやつだ。

 

そういう理由で、しばらくセックスをしていない。1人プレイはもう沢山だ。

率直に言って出会いが欲しい。しかし、世間体もあるので無闇に女性に声をかけることもできない。この状態は「詰んだ」というべきだろうか。将棋で勝敗が決するときに使うアレだ。

ああ、このままもう2度とセックスが出来ずに死ぬのだろうか?なんて残念な人生だ。

 

そんなある日、俺は新しい職場に転勤することになった。

そこである女性との出会いがあった。

 

彼女の名前はカレンと言った。

名前のとおり、美しい女性で2歳年下らしい。

所属している課はちがうが、昼の社員食堂で空いている席がなく何度か近くに座る機会があった。

 

彼女はいつも1人で食事を取っていた。俺も1人だったので話しかけやすかった。

話をしているうちに、俺と彼女は境遇が似ていることに気づいた。夫婦の仲があまり良くない、ということだ。

彼女の場合は、旦那さんの酒癖が悪く晩酌のたびに暴力を振るってくるらしい。DVってやつだ。確かに彼女の顔をよく見ると小さいアザが何箇所かある。これが1人で食べている理由かも知れない、と勘ぐってしまった。

 

彼女にも自分の状況を伝える。夫婦で違う布団で寝ていることを。

彼女は共感してくれた。中々うまくいかないものですね、と。

 

共感してくれるだけでとても嬉しい。暗い話題なのに思わず笑顔になってしまう。

 

そうして一緒に食事と雑談を重ね、ついに社外で食事をすることなった。

お互い下心を持ってこうなったわけではなく、自然な流れでその運びとなった。

 

この先、俺とカレンはどうなっていくのだろう?

食事のあとはどうしよう?

 

色々な妄想が頭をよぎる。ああ、これが不倫の味か。蜜の味がする。

 

 

つづく

(この話はフィクションです)

 

  

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